小池K子のブログ

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今更ながら

今更ながら…

生田斗真主演の『脳男』観ました!

公開当時から観たい観たいと思いつつ…
なかなか手を出せないでいましたが。


『脳男』は、首藤瓜於の小説であり
江戸川乱歩賞を受賞した名作です。

…すみません、読んだことないですが。

そんな名作ですので、原作を知るファンからは
映画に対しての評価は辛いものが多いみたいで。

『原作のあの部分を何故変えてしまったの!』
『あの描写じゃ伝わらない!』
『刑事がアホ!』←ひどい。笑

原作→実写だと、あるあるですよね~。
私もありましたもん。
やっぱりあの分厚い小説だからこそ
共感に繋がる全ての要素を描ききれるわけで、
それを2時間ほどの映画にまとめるというのは
どこからカットしたりアレンジしたりで
やはり原作を知る者としては物足りないもんです。

そういう理由で、原作を知らずに観て良かった。
色々と考えさせられる映画であったと思うのです。



ネタバレも若干含まれますので、以下ご注意を。



『感情がない』とされた脳男こと鈴木一郎は
人並外れた尋常でない知能を持ってはいるが
感情がない=欲求がない故に自発的な行動をせず
このままだと食事や排泄すらもしないため
通常、欲求で動くところを『知識』として
徹底的に仕込まれて育った人間である。

知能や才能かあ…
そんなもの、喉から手が出るほど欲しいですよ。
見ただけで全てを記憶できる能力なんてさ、
どんな資格も取り放題じゃんよ!
羨ましいったらないよ!

ただ、彼はその一方で感情を失っている。
(ように見える)

完璧な人間なんていない、といいますが
それは一方で
『何かの才能と引き換えに何かの才能を得ている』
ということなのかしら。と思った。
だからこそのあの知能のずば抜け具合なのかな。

ある能力を強化し過ぎると、
今回の黒幕の緑川紀子みたいに、ぶっ飛んだ精神状態になったりするのかも。

普通の人は、何かが突出してるわけではないけれど
その分、何も大きく失ってはいない。
日常で生きるなら、絶対その方が安全だし
平和に過ごしていけると思う。

ーーーしかし、何かが欠如してるのならば、
何か別の能力があるのではないか?


最近、自分の能力不足に絶望することが多くて、
例えば未来予測能力とかが全然なかったり
共感力やコミュニケーション能力もなく
察する能力や気遣いもないので
『私…社会で生きる価値ないんじゃね?』
と鬱々しちゃってたんです。
仕事怖い。
なんかさ、努力で何とかなる気がしないの。


でも、これは何かを得るための不具合としたら?

ありそう。
いや、あってほしい。

そうなると、自分の能力って何だろう?
何で以て仕事にできる能力に昇華するんだろう?

…と、ワクワクしてきたのである。



あと、さっきの緑川紀子が劇中で
自分が受けさせられたというセラピーについて
『そんなもんじゃ救えない魂もあるんだよ』
松雪泰子演じる精神科医に呟くのだが、
セラピーって患者の中にあるものを引き出して
昇華させることで治療するものじゃないですか。
要はたまった感情のエネルギーの発散ですね。

引き出すことも発散もできないなら
それはセラピーとは言えないわけで。
緑川にとっては『舌を切って人を殺すこと』が
彼女のエネルギー発散手段だってんだから
そりゃ通常のセラピーじゃ無理でしょうなあ…

で!
このエネルギー発散方法って
『自己表現』って言っていいと思うのですが
この手段も人によって違うわけですよ。

ある人にとっては喋ることがその手段だし
文字による伝達の方が合ってる人もいるだろうし
絵や歌かもしれないし、踊りかもしれない。

はたまたさっきの緑川のようにとんでもない方法じゃないと発散できない人もいたり。

セラピーで改心したように見えた志村も、
ああいう方法でしか発散できなかったんだろう。

つまり、世間一般常識では
『いけないこと』と認識しているものでしか
エネルギーを発散できない人もいたりする。


私はまだその方法を見つけられてないと思うけど
ようやく見つけたその方法が
他者に害を及ぼす以外の何物でもなかったら…?
社会では悪とされてるものだったら…?

帰ってこれるのか!?
開けちゃいけないドアじゃないのか!?

…怖い。怖いねー!


あと、志村が改心してないことに緑川はすぐに気づいたあたり、自己表現の方法を知っている人間からすると、同族というか『似た者』はわかるのかもしれない。


あ。そういえば、どこかの映画評価のコメントで
リボルバーの弾数を把握してないとかアホだろ』
と、江口洋介演じる刑事を酷評してましたが
あれはむしろ、知っててやったと思いますよ。
緑川が許せなくて弾を使いきったとも見えますが
鈴木を撃ちたくなかったんですよ。
だから『弾を使い切っちゃって撃てなかった』
って構図にしたかったんじゃないかな。
『お前を撃つつもりはない』って言いたそうな表情をしていたと思うの。



とっ散らかりましたね。文章が。


とにかく、妄想&想像好きな私にとっては
とてもとても面白いと思う映画でありました。


あと…


生田斗真カッコいい。笑


ファンになりましたっ!